■「ただ平和を望む」

 アルティヨメンコさんが所属する団体をはじめ、難民の支援ネットワークは昨年のウクライナ侵攻開始後、ロシア国内で活動してきた。

 ある週末、アルティヨメンコさんは家庭用品を購入し、ウクライナ難民のために人道支援物資を保管している倉庫に届けた。倉庫内には靴や洋服、食品、家電製品が木製ラックの上に置かれており、1日に最大10家族が訪れるという。

 ロシアで最もよく知られた慈善団体の一つであるモスクワのMayak.fundのボランティア、ユリア・マケエワさん(49)によれば、昨年の最も多かった時期に比べると減ってはいるものの、今でも多い時には1日当たり50人が倉庫を利用するという。マケエワさんは、難民の苦しみを見るのはつらいと吐露した。「活力と希望を保つため、心の中で一定の距離を置こうとしている。そうでないと仕事が手に付かず、泣き暮らすだけになってしまう」

 AFPがモスクワで取材した際に、倉庫を訪れていたある女性は、約1年前にウクライナの東部ハルキウ(Kharkiv)州クピャンスク(Kupyansk)から7歳と3歳の子どもたちを連れて逃げてきたと明かし、攻撃の中で自分たちがいかに生き残ったかという話をしながら泣き始めた。

 クピャンスクやその周辺は、6か月間にわたってロシアの支配下に置かれた後、昨年9月にウクライナ軍が奪還。現在はロシアが再び押し戻そうとしている。女性は、「私はただ平和を望んでいる」と訴えた。(c)AFP