【8月30日 AFP】ウクライナで29日、コールサイン「ジュース」として知られ、首都上空を防衛して「キーウの幽霊」とも称された空軍のエースパイロット、アンドリー・ピルシチコウ(Andriy Pilshchykov)少佐(29)の葬儀が執り行われ、大勢の参列者が集まった。

 第40戦術航空旅団所属のピルシチコウ少佐は先週、西部ジトーミル(Zhytomyr)州上空での訓練飛行中に2人のパイロットと共に死亡した。才能のみならず、西側諸国へのF16戦闘機供与の働き掛けに関しても、全国から惜しむ声が寄せられている。

 ドニエプル(Dnieper)川のほとりにあるカトリック教会の大聖堂では、親族や兵士を含む弔問者によるウクライナ国歌が響き渡った。国旗で包まれたひつぎの上にはピルシチコウ少佐の帽子が置かれていた。

 予備役のオレクサンドル・ドブガル中佐はピルシチコウ少佐について、「効率的に技術を向上できる米国式のパイロット訓練を行えるよう、官僚的形式主義をなくそうとしていた」とし、米国での訓練に参加した後、ウクライナ空軍の近代化を考えるようになっていたと振り返った。

 さらに「(米兵が)ジュースというコールサインを付与したのは、アルコールを一滴も飲まず、ジュースしか飲まなかったからだ」と説明した。

 恋人のメラニヤ・ポドリャクさんは「彼が亡くなった日、私もジトーミルに連れて行ってもらった。2時間で戻ると言っていたのに、二度と戻って来なかった」とAFPに話した。

 ミコラ・オレシチュク(Mykola Oleshchuk)空軍司令官は、ひつぎのそばに花束を手向け、母親に弔意を表した。「ただの戦闘機パイロットというだけでなく」「伝説的な存在だった」と声を詰まらせた。(c)AFP