【8月31日 AFP】ロシア民間軍事会社ワグネル(Wagner)をめぐり、専門家は、創設者エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏の死後も、ロシア政府がアフリカでの同社の活動継続に強い関心を抱いているとの見方を示した。

 ロシアは2014年以降、アフリカでの活動をワグネルに外部委託してきた。安全保障面では、ワグネルの戦闘員はリビアや中央アフリカ、マリの国軍と共に活動。政治分野では、偽情報の拡散や不安定化工作を行ってきた。

 ワグネルは経済分野でもアフリカ数か国で鉱物資源を開発。専門家はAFPに対し、ロシア政府にワグネルの活動を終結させる考えはないとの見解を示した。

 米シンクタンクのアトランティック・カウンシル(Atlantic Council)でアフリカ部門を統括するラマ・ヤデ(Rama Yade)氏は、ワグネルの存在の有無に関わらず、「ロシアはアフリカにおけるビジネスと安全保障の権益維持を望んでおり、それが主要な目標になっている」と語った。

 ロシア政府は、ワグネル以外にもアフリカ大陸に影響力を行使するための手段を持っており、それらは大使館から個人投資家、ロシア系企業、テレビ局、正教会に及ぶ。ワグネルの事情に詳しいルー・オズボーン(Lou Osborn)氏は、これらの組織がワグネルのアフリカでの躍進を後押ししてきたと述べた。

 中央アフリカの野党政治家ジョゼフ・バンドゥンガ(Joseph Bendounga)氏は、「ワグネルはロシアの新植民地主義を進めるためのツールであり、その活動を停止する理由は見当たらない」と話した。

 だが、プリゴジン氏の複雑な組織を統制して運営していくことは容易ではない。

 米シンクタンクのハドソン研究所(Hudson Institute)のアナリストであるピーター・ラウ(Peter Rough)氏は「ロシア政府は、プリゴジン氏のアフリカでの基盤を放棄するつもりはない。ただ、実際の活動をプリゴジン氏から後継者に移譲するのは、慎重に取り組むべき問題になるだろう」と解説した。