【11月5日 AFP】カナダ・セントローレンス湾(Gulf of Saint Lawrence)マグダレン諸島(Magdalen Islands)の港から、1そうのモーターボートがアザラシの群れを探しに出発した。

 北部グロスイル( Grosse-Ile)港を離れ、風を切って進むボートから顔を出すのは、アザラシ猟師兼写真家のヨアニス・メンジさん(Yoanis Menge)。水平線を見渡し、砂州で日光浴する群れを発見した。

 アザラシはわずかな音にも敏感に反応し、海に逃げ込んでしまう。水中に身を潜めたアザラシは海面に小さな黒い頭を突き出すが、これは非常に小さな標的で、ボートからだと仕留めるのが難しい。

 AFPの取材中、メンジさんとクルーは砂州からの射撃でアザラシを仕留めた。

 メンジさんは、アザラシ猟が物議を醸すものであることを認識している。ただ、その一方で、マグダレン諸島の住民やイヌイット(Inuit)を含むカナダの先住民グループにとっては日々の生活の中にある伝統でもあると話す。

 同諸島では、一年を通してアザラシ猟が営まれている。メンジさんたち関係者は、漁獲量の減少を懸念する漁師たちからの協力を得ながら、アザラシ猟のイメージを立て直したいと考えている。

 AFP取材班には「私たちはアザラシを狩るだけではなく、アザラシと共に生きている」と語る。

 そして「欧米諸国がなぜアザラシ製品を禁止したのだろうか。アザラシは感情的な理由でボイコットされた唯一の動物だ」と訴えた。

 マグダレン諸島のアザラシ猟に関する議論は、アザラシ保護を訴えたフランスの伝説的映画女優ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)さんのエピソードを避けては通れない。1970年代後半、バルドーさんはアザラシ猟の残酷さを訴えるために流氷の上で赤ちゃんアザラシと一緒に写真に収まり、社会にそのイメージを発信した。

 アザラシ猟に反対する活動家たちは、特にこん棒で殴打する狩りの手法に異議を唱えた。