【8月20日 AFP】リュドミラさん(70)には、祖国ベラルーシと欧州諸国を自由に行き来していた楽しい思い出がある。抑圧的な政府が西側諸国から相次いで経済制裁を科され、孤立する前の話だ。

 アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は2020年に反政府デモを弾圧。昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻を支援したことから、欧州各国はベラルーシとのフライトを禁止し、国境を閉鎖した。新型コロナウイルスの感染拡大時には、鉄道網も停止した。

 隣国ポーランドへの最後の検問所があるブレスト(Brest)近郊で、バスの乗客が通行許可が下りるのを待っていた。リュドミラさんもその一人だ。ベラルーシが政情不安に陥る前の数年間は何の問題もなくスペインをはじめ、欧州諸国に旅をしていたと語った。「今はもちろん、何もかもが大変になった」

 権威主義を強めるベラルーシから、バスでポーランドの首都ワルシャワに向かう人も多い。空路と鉄路が閉鎖されたことから、ルカシェンコ氏の独裁から逃れる人々、あるいは単に欧州で休暇を過ごす人々にとって、バスを使ったこのルートが重要なライフラインとなっている。

 ベラルーシの首都ミンスクからワルシャワまでのバスの旅は約12時間。国境で遅れが出ることも少なくない。