【7月20日 AFP】男子ゴルフのメジャー大会の一つ、全英オープン(The Open Championship)を主催するロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)のマーティン・スランバーズ(Martin Slumbers)最高経営責任者(CEO)は19日、ゴルフ界は賞金を増やし続けることで競技の将来を危機にさらしてはならないと警告を発した。

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 男子ゴルフでは、サウジアラビアの政府系基金「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」の後援を受けたLIVゴルフリーグ(LIV Golf League)が、数億ドル規模の契約金を武器にスター選手を引き抜くと、米国ツアー(US PGA Tour)も賞金を増額して対抗し、トップ選手の引き止めを図った。

 PGAとDPワールドツアー(DP World Tour、欧州ツアー)はその後、財政的な将来を守るため、LIVゴルフを含むPIFのゴルフ事業との統合にかじを取った。

 スランバーズCEOは、対立に終止符を打つことになる統合案を歓迎するとしつつ、トップレベルの賞金が増え続けることで、草の根レベルの競技の財源は食いつぶされつつあると警告している。

 今週から始まる全英オープンの賞金総額は2016年から約2倍の1650万ドル(約23億円)、優勝賞金は300万ドル(約4億2000万円)に増えているが、LIVゴルフの1大会の賞金2500万ドル(約35億円)や米国で開催される他のメジャー3大会の賞金は依然として下回る。

「全英オープンの賞金と、草の根や新しいゴルフの取り組みへの適切な投資のバランスを取らなければならない」というスランバーズCEOは、他の団体も同様の厳しい選択を迫られているのではないかと指摘し、「われわれは短期的な解決策を見つけるのではなく、長期的に見て財政的に持続可能なアプローチを取らなくてはならない」と主張した。

 また、全英オープンが賞金増額の手段として、タイトルスポンサーをつける案については明確に否定した。(c)AFP/Kieran CANNING