【7月29日 AFP】ウクライナから隣国モルドバに避難したラナ・リセツカさん(32)は、紛争から逃れた人々の心のケアに取り組むプログラムに参加している。「助かった」自分を許し、人生を立て直している最中だ。

 リセツカさんは、ロシアによる侵攻開始直後に7歳の息子を連れてモルドバに来た。最初の数か月は、いわゆるサバイバーズ・ギルト(生存者罪悪感)に苦しめられてきた。

「自分が安全なのは分かっていても、祖国や親を裏切ったという罪悪感を感じる」

 息子の安全を確保するため、夫と友人たちを残してモルドバに避難してきたリセツカさんは、現在はルーマニア国境に近いニスポレニ(Nisporeni)の難民収容施設で暮らしている。ウクライナ国旗色の青と黄色の小さなハート形のペンダントは肌身離さず持ち歩いている。

 時と場所を問わず、突然泣き出すこともよくあった。美容院にいる時でも、「マリウポリ(Mariupol)やブチャ(Bucha)では食べ物もない人たちがいたのに」という思いが浮かび、それなのに自分はここで髪を切ってもらっていると考えると、涙が止まらなくなったと振り返る。

 だが今は、難民のメンタルヘルスの問題に取り組んでいる「ドクターズ・オブ・ザ・ワールド(Doctors of the World)」の専門家のサポートを受け、ホテルの予約をする企業で働くようになった。