【7月5日 AFP】仏パリの裁判所は4日、利用客のかばんから逃げた飼い猫が線路上にいたにもかかわらず、フランス国鉄(SNCF)が救出せずに列車を発車させてひき殺した事件で、SNCFの過失を認め、罰金1000ユーロ(約15万7000円)の支払いを命じた。

 今年1月、駅でパリ発ボルドー(Bordeaux)行きの高速列車を待っていた母娘の「ネコ」という名前の猫が旅行かばんから逃げ出し、線路に飛び降りた。

 母娘は、駅員が運行に遅れが出るとして救助を拒み、列車を発車させたと非難。その後、動物愛護団体が「動物を死に至らしめた重大な虐待および残虐行為」でSNCFを告訴していた。

 この罪の法定刑は7万5000ユーロ(約1200万円)以下の罰金刑と5年以下の禁錮刑となっている。しかし、裁判所は、猫をひき殺したのは故意ではなく、駅員に「人間性が欠如」していたわけではないとした上で、「猫を救出するために必要な手段を講じなかった」として過失を認めた。

 さらにSNCFの旅行代理店に対しても、損害賠償として飼い主の母娘にそれぞれ1000ユーロを支払うよう命じた。(c)AFP