【6月29日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は今週、次期大統領選で再選を果たす起死回生の一手として経済政策「バイデノミクス(Bidenomics)」をアピールした。

 5月の世論調査では、同じく出馬を表明しているドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の経済政策を評価すると答えた割合が、バイデン氏を18ポイントも上回った。

 しかしホワイトハウス(White House)は、28日にシカゴで行われた演説で形勢は逆転できると期待を寄せる。

「バイデノミクス」とは、オリビア・ダルトン(Olivia Dalton)主席報道官代理が27日の会見で使ったバイデン政権のキャッチフレーズだ。

 1980年代当時の大統領、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)氏が唱えた経済政策「レーガノミクス」のもじりであり、批判も込められている。富裕層を優遇して経済を活性化することで低所得層に富を再分配する「トリクルダウン経済理論」に基づくレーガノミクスについては、米国の好景気を誘引したと評価する向きもあった。

 ダルトン氏は、「トリクルダウン理論では富裕層や大企業への減税で低所得層に富が浸透するため、政府の非介入が肝心としているが、バイデン氏はこの考えを否定している」とし、代わりに「ミドルクラスの成長によって経済成長を実現する理論」を重視していると説明した。

 バイデン政権はこの2年、グリーンエネルギー技術や半導体の分野で巨額の補助金を拠出し、道路や橋などのインフラ整備に約5500億ドル(約79兆円)を新たに支出する法案を成立させてきた。

 国家経済会議(NEC)のラエル・ブレイナード(Lael Brainard)委員長は、オフショアリング(国外への業務委託)と大規模なインフラ投資を中断したレーガノミクスは工業都市の空洞化を招いたと指摘。一方、バイデン氏の政策では、巨額のインフラ投資などを通じて、製造および建設業といった民間セクターで成果が出ていると主張した。

 さらに、全米でブロードバンドインターネット網を整備拡大する計画への財政支援もアピールした。