■雨不足?

 東部ボージュ(Vosges)県でも水問題が浮上している。食品大手ネスレ(Nestle)傘下の「ヴィッテル」が、過剰に採水していると非難されているのだ。

「ボルヴィック」の工場で30年間勤務したジョゼ・ダシルバさん(69)は「自分の国が渇きで死にそうになっているのに、地球の反対側に水を輸出するのはいかがなものか」と自問している。「彼ら(「ボルヴィック」)は(水道水とは)水源が異なると言い張ろうとしているが、納得できない」と、AFPに語った。

 同社のデータによると、1950年には採水量は年間約20万リットルだったが、2020年には推定17億リットルに大幅増加した。

「ボルヴィック」は地元住民に課されている水制限の対象とはなっていないが、25億リットルの採水上限を5%引き下げると表明した。これに対し活動家は、現在の採水量は上限を下回っており、そうした約束は意味をなさないと主張している。

 一方、地元当局は、「ボルヴィック」による採水と水制限の間には関連がないとの立場だ。当局は2022年の降水量が例年を24%下回った点を指摘している。

■法廷闘争

 しかし、プレバと別の地元団体は、ダノンが使用している6つの深井戸が、ボルビックの帯水層の水位を低下させている原因ではないかとみている。

 マス養殖場を経営するエドゥアール・ドフェリゴンド氏は、仏政府と「ボルヴィック」を相手取り、水源の枯渇に伴う損失の補償を求めて4年にわたって法廷闘争を続けている。

 ドフェリゴンド氏は、昨年判事が命じた専門家による報告書で、ダノンに原因があるとの自身の主張が裏付けられるだろうと確信している。

 同氏はAFPに対し、「今のところ、当局は水不足には干ばつが関係していると信じさせようとしている。それは間違いだ」と語った。

 ドフェリゴンド氏は、ダノンが約1000人を雇用する地域最大の雇用主であり、多くの人は盾突くことに二の足を踏んでいるとみる。

「私だけが影響を受けているわけではないが、闘争のための手段を持っているのは私だけだ」 (c)AFP/Adam PLOWRIGHT