【5月14日 AFP】ナマケモノの毛皮に抗生物質生産菌が潜んでいる可能性があると、中米コスタリカの研究チームが発表した。近年深刻化している抗生物質が効かない「スーパー耐性菌」の問題に光をもたらすかもしれないと、研究者らは期待を寄せている。研究論文が学術誌エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー(Environmental Microbiology)に掲載された。

 高温多湿なカリブ海(Caribbean Sea)沿岸のジャングルの樹冠に生息するナマケモノは、のんびりとしたコスタリカのシンボルであり、主要な観光資源でもある。

 ナマケモノの皮膚上では虫や藻類、真菌や細菌など微生物の活動が活発で、その一部には疾病リスクもあるが、だが専門家らは、ナマケモノは驚くほど感染症に耐性があると指摘する。

 コスタリカ大学(University of Costa Rica)のマックス・チャバリア(Max Chavarria)氏のチームは、コスタリカに生息するフタユビナマケモノとミユビナマケモノの複数の個体から毛皮のサンプルを採取。感染制御システムについて調査した結果、「潜在的病原細菌の増殖を制御できる」抗生物質生産菌が存在する可能性が明らかになった。

 この研究を2020年に始めたチャバリア氏は、ナマケモノの毛皮の微生物相の制御に関与している細菌の「候補」としてすでに約20種を特定している。だが同氏は、それらがヒトに有用かどうか結論を出すまでの道のりは長いと述べた。

 世界保健機関(WHO)は、耐性菌感染による世界の年間死者数は2050年に1000万人を超えると推定している。

 映像は3月と4月に撮影。(c)AFP/Alberto PENA