【3月11日 AFP】アニメに登場する空想上の生き物のように、尾ひれの付いた衣装を身にまとった大勢の人が、米バージニア州の屋内プールで人魚の「魔法」を楽しんでいる。生き生きとしたその光景は、多様性や包括性を受け入れる参加者から歓迎された。

 バージニア州マナサス(Manassas)で行われた人魚をテーマにしたイベント「マーマジックコン(MerMagic Con)」は、世界最大級の人魚の祭典と銘打たれている。多様性や包括性を尊重し、障害の有無などを問わず多くの愛好家が集まっている。

 シャルコー・マリー・トゥース病という難病のヘレナ・マクラウドさん(33)は、泳ぐことはできないものの、夫の助けを借りながら、人魚の姿になってプールサイドで水しぶきを上げたり、キラキラと輝く紫色の貝殻が付いた車いすに乗って、会場を回ったりしていた。

「参加し始めた頃は障害のある人魚はそんなに多くいませんでしたが、今はたくさんいます」と話すマクラウドさん。「魔法を共有し、子どもたちを笑顔にします。『あ、人魚だ!』と気付いてくれるのが大好き。障害のある子どもや車いすの子どもも、私を見てとても喜んでくれるのです」と語った。

 両腕に障害のあるチョボさん(27)は、6~7年前から人魚になって参加しているという。尾ひれのようなフィンを着けてプールに飛び込み、泳いでいた。

「(人魚になることは)自己表現であり、魔法のようなものであり、ただ楽しむものなのだと思います。泳ぐことが本当に好きですし、私の人生の大きな部分を占めてもいます。私は障害者です。なのでできないスポーツがたくさんあります。人魚になることは私にとってとても素晴らしいことで、インクルーシブです。スポーツの要素もあるし、自分を表現できることでもあるのです」

 映像は3、4日に撮影。(c)AFP