【3月6日 AFP】世界保健機関(WHO)は、アフリカのコンゴ民主共和国で人道支援スタッフから性暴力を受けた被害者100人以上に対して支援を行ったと先週発表した。

 同国で2018~20年にエボラ出血熱が流行した際、派遣された人道支援スタッフが性的搾取や暴行に及んだ。WHOは疑惑への対応の遅れをめぐって非難を浴びた。

 国連人口基金(UNFPA)の在コンゴ民主共和国事務所のユージーン・コンニュイ(Eugene Kongnyuy)所長は、これまでに特定された被害者115人のうち、104人が医療や精神面のケア、経済的な支援を受け入れたと明らかにした。

 UNFPAは、性的暴行により生まれた17人の子どもに長期的な支援を提供していかなければならない。コンニュイ氏は「通学や食糧支援などで子どもたちを支える必要がある」としている。

 コンニュイ氏は「父親を特定するためにDNA鑑定を行う必要がある」と指摘した上で、「父親が判明するまで、子どもを養育し続けていく方法を模索しなければならない」と説明した。

 多くの問題の中で特に難しいのは、被害者が報復や非難を受けないよう、コミュニティー内で被害者の匿名性を保ちながら支援することだという。

 WHOは200万ドル(約2億7000万円)の特別基金を設置し、これまでに35万ドル(約4800万円)を国内のパートナー団体の活動を支えるために分配した。

 特定された被害者115人のうち、WHOの職員や委託業者から性的搾取、暴行を受けたのは約3分の1だが、WHOの特別基金は全員の支援に使用されるという。

 2021年に公表された第三者機関の報告書によると、同国でエボラ出血熱が流行していた際に、性的搾取・暴行を犯した人道支援スタッフ83人のうち、21人がWHOの職員だった。

 WHO以外の国連機関の職員も関わっていた。WHOは対応の遅さと透明性の欠如から、主要な資金提供国数十か国から2度にわたり批判されていた。(c)AFP