【2月13日 AFP】米テキサス州の製菓材料メーカー「ピーカン・デラックス・キャンディー(Pecan Deluxe Candy)」は、2020年の英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後、英工場で手掛ける製品を卵・バター無使用のビーガン製品に切り替えた。

 ブレグジットの結果、英国から欧州連合(EU)への動物性食品の輸出には、獣医師による証明の取得や他の必要書類の作成など時間も費用もかかる手続きが必要となった。ピーカンの場合、これまでに10万ポンド(約1600万円)以上の追加コスト負担を余儀なくされた。

 同社はイングランド北部リーズ(Leeds)近郊の村、シャーバーンインエルメット(Sherburn-in-Elmet)の工場で、ケーキのトッピングやクッキー生地といった製菓材料を製造している。

 ブレグジット後、英国事業の売上高全体に占めるEU向け輸出の割合は84%から55%に落ち込んだ。同社はこれを受けて製品を見直し、シャーバーンインエルメット工場での乳製品使用を昨年10月に停止した。

 同社欧州法人のグラハム・キングストン(Graham Kingston)社長は「新たな商品ラインアップによってコストを大幅に削減できた。獣医師を呼んで署名してもらう必要もなくなり、欧州への輸出もスムーズになった」と説明。「植物由来の製品は価格も抑えられ、ビーガン食をはじめ現在のトレンドにも合致する」と満足げだ。

 苦境に立たされている英国の輸出企業に対する英政府の支援はどうあるべきか尋ねると、キングストン氏は「EUに復帰すればわれわれを助ける最初の一歩になる」とし、ブレグジットの撤回を訴えた。

 また、「われわれが今手にしているのはすべてブレグジット後につかんだ情報だ。何から何まで自分たちだけでやらなければならなかった」と語り、資金面だけでなく、情報の提供も大きな助けになるとの考えを示した。 (c)AFP/Paul BARKER