【12月12日 AFP】米航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられた宇宙船オリオン(Orion)が11日、月周回軌道への無人試験飛行を終え、メキシコ沖の太平洋に無事着水した。人類の月面着陸を再び目指す「アルテミス(Artemis)」計画が前進した形だ。

 11月16日に打ち上げられたオリオンは月の周回軌道に投入された後、月から約130キロの距離まで接近。軌道を離脱するまでに有人用の宇宙船としてはこれまでで最も遠い、地球から約43万キロ離れた宇宙空間に到達した。行程は26日間で約225万キロに及んだ。

 大気圏再突入時、宇宙船の表面温度は2800度にもなる。今回のミッションの主な目的は、オリオンのヒートシールドの耐熱性を確認することにあった。NASAはアルテミス計画に数百億ドルをすでに投じており、ミッション成功が鍵を握っていた。

 オリオンの部品の一部は、2024年に計画されている次のミッション「アルテミス2」で再利用される予定。同ミッションでは、宇宙飛行士を月周回軌道まで運ぶが、月面着陸は想定されていない。着陸は2025年予定の「アルテミス3」で実行される見通し。月の南極で、氷の状態の水を発見することを目指している。

 映像はNASA TVより提供。(c)AFP