【10月15日 AFP】世界一の富豪で実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は14日、宇宙開発企業スペースX(SpaceX)はウクライナに提供している同社のインターネット通信衛星サービス「スターリンク(Starlink)」の費用を無期限で負担することはできないと述べた。

 スターリンクは、地球低軌道に3000以上の小型衛星を投入している「衛星コンステレーション」と呼ばれる衛星通信サービス。ロシア軍との戦闘を続けるウクライナの通信に不可欠で、マスクが先週公表した最新のデータによると、スペースXは約2万5000台の端末をウクライナに寄贈している。

 マスク氏はツイッター(Twitter)への投稿で米CNNの報道を裏付けるように、自分が経済的に負担するのは終わりだ、米軍が費用を負担する必要があると警告する文書を米国防総省に送ったと公表した。

 マスク氏は「スペースXとしてはこれまでに負担した費用を返してほしいとは言わないが、現行のシステムに無期限に資金を提供することはできない。さらに、一般家庭の100倍ものデータ使用量がある端末をさらに数千台も送ることはできない」「理不尽な話だ」とツイートしている。

 マスク氏によると、スターリンクのウクライナへの提供ですでにスペースXは8000万ドル(約120億円)を負担しており、年内には1億ドル(約148億円)を超える見通しとしている。

 しかしCNNによると、スペースXが国防総省に伝えたデータでは、同社がウクライナに寄贈した最初の端末2万台のうち約85%は、米国やポーランドなどが少なくとも一部の費用を支払い、インターネットの接続費用の約30%分も負担していた。

 国防総省のサブリナ・シン(Sabrina Singh)副報道官は14日、 同省がスペースXからの文書を受け取ったと認めた上で、「この件を含め、さまざまな問題についてスペースXとは連絡を取り続けている」と述べた。(c)AFP/Issam Ahmed and W.G. Dunlop