【9月22日 AFP】オーストラリア各地で22日、英国の植民地政策が先住民にもたらした影響を非難する抗議デモが行われた。この日は、死去したエリザベス英女王(Queen Elizabeth II)追悼のため国の休日となっていた。

 シドニー、メルボルン、キャンベラなどの都市では、君主制廃止を求める活動家らが集まり、約200年前の英国人入植から始まる先住民迫害に抗議した。

 シドニーで抗議デモに参加した先住民族ゴメロイ(Gomeroi)のグウェンダ・スタンリーさん(49)は「英王室は、ここオーストラリアに未解決の問題が残っていることを認識すべきだ」と話した。

 スタンリーさんは女王の死について「悲しむ理由がない。それどころかわれわれ(先住民)にとっては喜ぶべきことだ」と述べ、先住民の土地の返還と「戦争犯罪」に対する賠償を訴えた。

 先住民のポール・シルバさん(24)は「君主制は廃止されなければならないし、ずっと昔にそうなるべきだった」と話した。

 シルバさんは「オーストラリアの先住民は今も先祖たちの土地を取り戻すために闘っている」「われわれはこうした土地を伝統的な所有者に返還することを要求する」との見解を示した。

 英国人は1788年からオーストラリアへの入植を開始。以後2世紀に及ぶ先住民に対する差別と迫害の歴史が始まった。先住民らは推定6万5000年前から豪州に住んでいた。

 植民地化後、先住民の殺りくをはじめ、強制的に親から子どもを引き離すなど、政策面でも迫害は続いた。

 欧州系などのオーストラリア人と比べ、大陸の先住民(アボリジニ)とトレス海峡諸島(Torres Strait Islands)の先住民には依然として明確な格差が存在する。平均寿命が短いほか、刑事施設で死亡する割合が高い。(c)AFP