【5月26日 AFP】アフガニスタンの報道専門チャンネル「トロニュース(TOLOnews)」の総合司会者、ニサール・ナビル(Nisar Nabil)氏は、放送が始まる直前に黒いマスクを着用する。イスラム主義組織タリバン(Taliban)の暫定政権が、女性キャスターにテレビ出演の際は顔を覆うよう命じたことへの抗議だ。

「私たちは女性の同僚を支持している。生放送のニュースや政治番組では、抗議としてマスクをしている」とナビル氏は、首都カブールにあるスタジオでAFPに語った。

 タリバンは昨年8月の実権掌握以来、さまざまな女性の権利を制限してきた。最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ(Hibatullah Akhundzada)師は今月、女性に公共の場では顔まで完全に覆うよう義務付け、ブルカの着用が望ましいとした。

 勧善懲悪省は、女性キャスターも21日以降は番組出演の際に顔を隠すよう命じた。

 女性キャスターらは当初この命令に反発したが、22日からはトロニュースのほか、1TV、シャムシャドテレビ(Shamshad TV)、アリアナ・テレビ(Ariana Television)など各局で、ヒジャブやベールで目の周囲以外を覆った姿で出演している。

 一方、男性キャスターは命令への抗議運動を開始。黒いマスクを着用してニュース番組に出演するようになった。女性キャスターと共演することもある。

「タリバンは、こうした制限を課すことで報道機関に圧力をかけようとしている。メディアを意のままに操りたいのだ」とナビル氏は指摘する。

 主要民放局である1TVの編集責任者、イドリース・ファロキ(Idrees Faroqi)氏は、女性キャスターが顔を覆ったまま3時間も4時間も収録を行うのは難しいとして、「われわれはタリバンが決定を見直し、制限を撤回することを望んでいる」と述べた。

 だが、タリバンのイナムラ・サマンガニ(Inamullah Samangani)副報道官は今週、ツイッター(Twitter)への投稿で、「ネクタイ着用の義務付けが礼儀にかなっているというなら、なぜヒジャブはだめなのか」と主張した。

 1TVのキャスター、モヒブ・ユースフィ(Mohib Yousufi)氏は、当局が男性キャスターの服装にも規制をかけるのは時間の問題だとし、「多くの男性キャスターが心配している。私もだ」と述べた。(c)AFP/Aysha SAFI