【4月23日 AFP】宇宙観光を手がける米スペース・パースペクティブ(Space Perspective)は今週、同社の気球型宇宙船「ネプチューン(Neptune)」の船室内を描いたイラストを公開した。2024年後半の打ち上げ開始を見込んでおり、1枚12万5000ドル(約1600万円)の搭乗券は、すでに600枚以上売れている。

 縦1.5メートルの窓、座面の深いシート、濃い紫色を基調としたインテリアと柔らかな照明。その豪華な雰囲気は、衛生施設を思わせる白を基調とした競合他社の宇宙船カプセルとは対照的で、WiFi接続やドリンクバーまで備えた完璧な「スペースラウンジ」となっている。

 だが、これが本当に宇宙旅行なのかどうかは、意見が分かれるところだ。

 スペース・パースペクティブの気球の到達高度は約30キロで、競合他社に比べてはるかに低い。英富豪リチャード・ブランソン(Richard Branson)氏の創業した宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の宇宙船は、高度80キロ超にまで到達する。また、米富豪ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が設立した宇宙開発企業ブルー・オリジン(Blue Origin)では、国際的に定められた大気圏と宇宙空間の境界線「カーマンライン(Karman Line)」の高度100キロを突破している。

 それでも、旅客機の巡航高度10キロと比較すると、高度30キロははるかに高い。

 共同創立者のジェーン・ポインター(Jane Poynter)氏はAFPの取材に対し、「地球の大気の99%が存在する高度よりも上まで上昇します」と語った。つまり乗客は漆黒の宇宙空間を目にする。ただし、無重力体験はできない。

 特別な訓練は必要ない。気球は時速19キロでゆっくりと上昇する。ロケット燃料を使わない、無公害の環境に優しいサービスを提供すると同社はPRしている。

 気球による空の旅は、上昇に2時間、飛行に2時間、降下に2時間。最後は海に着水して終了する。価格は、ヴァージン・ギャラクティックの45万ドル(約5800万円)に比べればかなり割安だ。

 ネプチューンについてポインター氏は「宇宙旅行を身近で手の届きやすいものにし、人々のイメージを大きく変える方法を模索した」と説明した。(c)AFP