【3月4日 AFP】「妻はきっと天国にいて、最高の人生だったことを願っている」。ウクライナの首都キエフ西方の都市ジトーミル(Zhytomyr)で1日夜、ミサイル攻撃で妻を失ったオレグ・ルベク(Oleg Rubek)さん(32)は涙で声を詰まらせ、侵攻したロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領への憎しみで泣き腫らした。そして、自分の身に起きたことを「世界に知ってほしい」と訴えた。

 技術者のルベクさんは、ジトーミルの自宅の居間で1歳半の娘と遊んでいた1日午後10時ごろ、1発目のミサイルが自宅付近に着弾した。2発目は自宅の裏に落ちた。深さ5メートルの穴が開き、濁った水がたまった現場は、ルベクさん宅のがれきで埋め尽くされている。

「妻の名前はカティアだった。彼女が寝室に入るのを見た1分後には、もう何もなかった」とルベクさんはAFPに語った。

 すすり泣き、謝罪の言葉を口にしたルベクさんは、「全世界に私に起きたことを聞いてほしい」と声を絞り出した。

 さらに、がれきの山を指さしながら、「娘と居た場所だ。見ての通り、もはや家ではなく、部屋でさえもない。恐らく地獄かもしれない」と続けた。

 2発目の爆発でがれきの下敷きになったルベクさんは、指先で探り当てた携帯電話のライトをつけ、娘を発見した。

「娘は動いていなかった。私にとっての全ての世界が崩れ去ったと思ったものの、娘の手を握ったところ、彼女は泣き始めた。人生の中で最も美しい音だった」とその瞬間を振り返った。

 しかし、カティアさんはがれきの下敷きになっていた。ルベクさんは素手で彼女を掘り出したが、恐れていた通り、亡きがらとなっていた。

 酷寒の中、もう終わりにしようと促す父親の制止を振り切るように、「寒くない。ただ全世界に何が起きたのか知ってほしいだけだ」とルベクさんは訴え、プーチン大統領に怒りの矛先を向けた。

「彼には死んでほしい。地獄の業火の中で永遠に焼かれればいい」

 ジトーミルの当局者によると、1日夜の攻撃で少なくとも3人が死亡、子ども数人を含む20人以上が負傷した。(c)AFP/ Emmanuel DUPARCQ