■「心が豊かに」を期待

 ノイハウスさんは、購入には手間と時間がかかると認める。だが、自宅で「包装を捨て、ごみの日にごみを出す。その時間まで全部計算すると、どっちの方が早いのか、心が豊かになるのか」を考えると、面倒だという意識も変わるのではないか、と期待する。

 英ロンドンで育ったノイハウスさんは2016年、東京での生活を始めた。野菜一つでも包装される日本の販売方法に「ごみを出す、出さないの選択ができない」と感じたと言う。

 買い物に訪れた武田史香(Fumika Takeda)さん(48)は「量り売りで買うと余計なごみが出ないのがいいなと思って。できるところだけ、と思って来ています」と話した。この日は蜂蜜、ヘチマスポンジ、酢、ナムルの素を購入した。

 何回も来ているという大学生は、普段からプラスチックごみを減らしたいと考えており、「実際にごみも減ってよかった」と語った。店を訪れることで、農薬や洗剤による環境への影響について知る機会にもなっているという。

■京都には量り売りのスーパーも

 斗々屋は今年7月、京都で量り売りのスーパーマーケット「斗々屋 京都本店」を開業。生鮮食品や総菜をはじめとする700品目以上が並び、飲食店も併設している。鮮度が落ちる前に食品を加工し、その日のおすすめメニューとして提供するためだ。

 昨年から始めた量り売りビジネスのオンライン講座は、のべ198人が受講した。斗々屋が扱う商品を量り売りで販売する店舗は全国で約40軒に上り、生産者と小売店のネットワークも広がってきている。

 斗々屋は、ニュ・バイ・トトヤと京都本店の両方をモデルショップとして展開している。今後は他社との提携も視野に入れつつ、フランチャイズ化を考えている。(c)AFPBB News/Marie SAKONJU