【10月15日 AFP】レバノンの首都ベイルートで14日、昨年8月に同市の港岸地区で発生した大規模爆発をめぐるデモの参加者に対し、何者かが発砲し、銃撃戦に発展した。市内の一部は戦場と化し、少なくとも6人が死亡、数十人が負傷した。

 軍は事態の収拾に向け、戦車や兵士を投入。昨年の爆発事故や、同国史上最悪の経済危機にさいなまれていたベイルート市民の間では、1975~90年に起きた内戦の記憶がよみがえった。

 銃撃戦は、イスラム教シーア派(Shiite)政党のヒズボラ(Hezbollah)とアマル(Amal)の支持者によるデモに対する発砲がきっかけで発生。現場には自動小銃の銃声やロケット弾の爆発音、救急車のサイレンが鳴り響いた。

 デモ隊は、爆発事故の調査を担当するタレク・ビタル(Tarek Bitar)判事に抗議していた。同判事は事故調査のため政府高官に出頭を求める方針を固持していたことから、ヒズボラとアマルの反発を生んでいた。

 AFP特派員によると、住居ビルから何者かがデモ参加者を狙撃。デモ隊側はAK47自動小銃やロケット弾で応戦した。

 レバノンの内相によると、少なくとも6人が死亡。地元病院の医師はAFPに対し、自宅で流れ弾に当たった女性が死亡したと語った。同国の赤十字(Red Cross)によれば、30人が負傷した。

 昨年8月4日の事故では、ベイルートの湾岸地区で硝酸アンモニウムが大爆発し、200人以上が死亡、市内の広範囲が破壊された。(c)AFP