■古き良き世界の魅力

 現在シムラの人口は増え、丘陵部にまで街が広がり、古き良き時代の魅力の一部は失われた。だが、モール(Mall)と呼ばれる目抜き通りの店は今も、植民地時代の趣を残している。

 ここ数十年は、冷房が利き、サラウンド音響設備が整っていて、多種多様な作品を選ぶことのできる郊外のシネコンが映画好きの人気を集めている。

 シムラでは昨年まで2館の映画館が残っていたが、インド全土で新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)が始まると、リッツ・シネマは閉館となった。

 昨年10月にようやく映画館の営業再開が認められたものの、今年4月には昨年の流行が小規模に見えるほど感染が拡大し、再度閉鎖しなければならなくなった。

「コロナ後の未来は不透明だ」とシャルマさんは話す。映画館に足を運んでいた人たちが、今後はオンラインストリーミングで済ますようになるかもしれないと懸念している。「映画館に今も来たいと思っているかさえ分からない」 (c)AFP/Bhuvan BAGGA