■「ナルシシストでショーマン」

 ポーランドのゲーム開発会社CDプロジェクト(CD Projekt)や、電子商取引(EC)プラットフォーム「ショッピファイ(Shopify)」、ハンドメード製品の通販サイト「エッツィー(Etsy)」の名をマスク氏が口にするだけで、これら企業の株価は高騰した。マスク氏は、愛犬用の手編みのニット帽をエッツィーで購入したようだ。

 ニューヨーク大学(New York University)の経済学者アスワス・ダモダラン(Aswath Damodaran)教授によると、影響力のある人物が企業の行方を左右することは過去にもあった。

 100年以上前の銀行家ジョン・モルガン(John Pierpont Morgan)や1980年代に米自動車大手クライスラー(Chrysler)を率いたリー・アイアコッカ(Lee Iacocca)の発言は、市場を動かすことができた。

 また、著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏の一言一言は、多くの投資家に注目されており、出身地にちなみ「オマハの賢人(Oracle of Omaha)」と呼ばれている。

 だが、マスク氏は「非常に意識的に、ある種の無法者、アウトサイダー的なペルソナ(仮面)を作り出している」と話すのは、南カリフォルニア大学(University of Southern California)のコミュニケーション学教授クリストファー・スミス(Christopher Smith)氏だ。「それが、ITマニアのカルチャーと共鳴する」

 スミス氏は、米アマゾン(Amazon)創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏のような経済界の大物は、自らの事業ポートフォリオに基づいて語るが、マスク氏は「おそらくもっと自分が注目されたいナルシシストで、ずっとショーマンだ」と述べた。

 自らのツイッターがいまだ市場を動かす力があり、それに伴う法的問題も発生する可能性に気付いたのか、マスク氏は2日、「ツイッターをしばらく休止する」と投稿した。もちろん、ツイッターに。(c)AFP/Juliette MICHEL