【1月15日 AFP】(更新、写真追加)新型コロナウイルスの流行で急減速した米経済の回復が遅れる中、ジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領は14日、1兆9000億ドル(約197兆円)規模の追加経済対策案を発表した。

 民主党が上下両院とも僅差で多数派を占める新たな議会で、バイデン氏は3度目となる大規模な新型コロナ対策案を通過させようとしている。政権移行チームの幹部が同日語ったところによると、「米国救済計画(American Rescue Plan)」と名付けられたこの対策案には、世界最大の経済を再生するための多くの措置が含まれている。

 バイデン氏の政策案は、最低賃金の時給15ドル(約1560円)への引き上げ、困窮する州政府と地方自治体への支援、安全な学校再開、大規模な新型コロナワクチン接種キャンペーン、先月議会が承認した給付金の規模拡大を目指すとしている。

 発表に続いてデラウェア州ウィルミントン(Wilmington)で演説したバイデン氏は、「こうした雇用や人種間の平等に対する投資は、長期的な経済損失を防ぐことにつながり、その利益は投資費用をはるかに上回る」と訴えた。「この危機的状況の中で、(中略)何もしないわけにはいかない」

 さらにバイデン氏は、「われわれは税金を米国の再建に使う。米国製品を買い、米製造業界で働く数百万人の雇用を支え、競争が激化する世界で米国の競争力を高める」と言明した。

 政権移行チームは政策案発表に当たり、「時間との闘いだ。追加の政府支援がなければ経済と公衆衛生の危機が今後悪化する恐れがある。学校は安全に再開できず、ワクチン接種は進まないままとなる」と警告した。

 しかし、これは第一歩にすぎない。政権移行チームによると、バイデン氏は20日の大統領就任直後に第2の「回復」計画を議会に提出する意向だという。

 14日発表の米政府統計によると、2021年1月第1週の米失業保険申請件数は96万5000件と急増し、昨年8月以降最多となった。昨年末で解雇された人が多かったことが先週、報告されていた。(c)AFP/Jim Watson with Chris Stein in Washington