【12月7日 AFP】6日に行われた20F1第16戦サキールGP(Sakhir Grand Prix 2020)決勝では、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のジョージ・ラッセル(George Russell)が、スターとしてのポテンシャルを証明しながらも、タイヤのつけ間違いと終盤のパンクで優勝を逃す失意を味わった。

 7回目の年間優勝を決めているルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が新型コロナウイルスに感染して離脱したため、ウィリアムズ(Williams)ではなくメルセデスから出走したラッセルは、62周までトップで走行していたが、ピットストップでスタッフがバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)のタイヤを間違えてつけてしまうというミスに見舞われた。

 そして再度ピットインすることを強いられた後には、トップを走るレーシングポイント(Racing Point)のセルヒオ・ペレス(Sergio Perez)に迫っていた中でタイヤがパンク。最後は何とか持ち直して9位に入り、最速ラップも刻んでF1で初となる3ポイントを獲得した。

 ラッセルは「これまでにも勝てるレースを落としたことはあったけど、チャンスを2回逃すなんて信じられない」「この状況が信じられないよ。僕は全力で走った。特に序盤は主導権を握れていて、もちろん、その後セーフティーカーが出てきたのは少しいらついたけど、気持ちには余裕があった」とコメントした。

 ラッセルはスタートで先頭に立ち、1回目のピットインまでにはボッタスに5秒差をつけていた。そしてその後に2回目のセーフティーカーが導入されたため、チームは両ドライバーの「同時」ピットインを決断した。

 ところがまずはラッセルがピットストップを終え、ボッタスが交換に入った段階で、スタッフが新タイヤがないことに気づき、ラッセルのマシンにボッタスのミディアムタイヤが装着されていることが発覚した。そのため自分のドライバーコードのついていないタイヤをつけたラッセルは、もう一度ピットストップを行うことを強いられ、2回目のセーフティーカー明けのレース再開に5位で臨むことになった。トト・ヴォルフ(Toto Wolff)チーム代表は、無線での連絡ミスがこの件の原因だと話している。

 それでも2位に再浮上したラッセルだったが、今度はタイヤがパンクするアクシデントに見舞われた。皮肉なことにその原因は、ラッセルに代わってウィリアムズからデビューを飾ったジャック・エイトケン(Jack Aitken)がフロントウイングを破損し、その破片を踏んだことの可能性が高い。

 これでもう一度ピットインをしなければならなくなったラッセルは、14位に後退し、最後は9位まで順位を戻したものの、会心の勝利を逃したことにひどく落胆している様子だった。

「このレースが始まる前に、君はポイントが取れるよと言われていたんだとしたら、僕も『そうか、なら最高の週末になりそうだな』と答えていたと思うけど、トップで走れるよと言われていて、結果がこれだとしたら、どうだろう…」

「本当に悔しいよ。正直に言って、車から降りるときはものすごく悔しかった」 (c)AFP