■性教育の欠如

 オポンド氏によると、十代の妊娠の主因の一つは、性教育の欠如だ。

「ケニアには総合的な性教育がありません。(中略)多くの少女は、望まない妊娠を防ぐにはどうしたらよいかを知りません」

 ケニアにおける総合的な性教育の導入には課題が絶えず、宗教団体や保守的な集団から激しく抵抗されている。

 一方、性に関する話題は家庭ではタブーだ。

「自分にうそをつくのはやめましょう。子どもたちはセックスをしているのです」と促すのは、NGO組織「ケニアの生殖と健康のためのネットワーク(Reproductive Health Network Kenya)」のリタ・アニンド(Ritah Anindo)さん(22)だ。

「子どもたちは暇を持て余しています。その結果はどうなるでしょうか? 十代の妊娠、新たなHIV(エイズウイルス)感染、危険な妊娠中絶です」

 リネットさんのような少女の多くにとって、いつか学校に戻るという望みは出産で完全に断たれてしまう。

「大半の子は学校に戻ることができません。(中略)多くのサポート、金銭的援助、精神的なサポートが必要なのです」とアニンドさんは話す。「十代の妊娠件数は、十代の新型コロナウイルスの感染者数よりも多いかもしれません。非常に悲しいことです」 (c)AFP/Fran BLANDY