【7月22日 AFP】8億年前に大規模な隕石(いんせき)群が地球や月に降り注いだことを明らかにした最新の研究結果が21日、発表された。恐竜を絶滅させた天体衝突の30倍以上のエネルギーに相当するという。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや(Kaguya)」が撮影した画像を詳細に調べた日本の研究チームは、直径100キロ以上の巨大な小惑星が砕けた後、地球や月に衝突していたことを突き止めた。この衝突が地球上の生命に及ぼした影響は極めて大きいと考えられるという。

 これほどの大きさの小惑星が地球に衝突する確率はおよそ1億年に1回とされ、また6億年前より以前に起きた隕石衝突で地球上に形成された衝突クレーターは、長年の浸食や他の地質学的作用によって消失してしまっている。だが、月では実質的に浸食は起こらないため、研究チームは月面にある大型のクレーター約60個の形成過程を再構成することができた。

 大阪大学(Osaka University)などの研究チームは、衝突クレーターの放出物(大きな衝突で生じた大量の岩石)が落下した領域内のより小型のクレーターを調査することで、大型のクレーターが形成された年代を調べた。

 研究チームはまた、クレーターのサイズに関するスケーリング則と衝突確率を用いて計算した結果、地球と月に衝突した隕石群の質量を4京~5京キロと推定した。これはチチュルブ(Chicxulub)小惑星の衝突事象の30~60倍に相当する。約6500万年前に現在のメキシコに当たる地域で発生したこの衝突事象は、非鳥類型恐竜を含む地球上の生物の4分の3以上の大量絶滅を引き起こしたと考えられている。

 今回、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文によると、8億年前の衝突によって地球上の生物に波及した影響は重大だったと考えられるという。

 研究チームは、地球外要素の流入が海洋の生物地球化学的サイクルに影響を及ぼし、地球の気候システムや動物の出現などに大きく関わった可能性があることを、最新の研究結果は示唆しているとした。(c)AFP