【7月9日 AFP】各地で人種差別への激しい抗議デモが続く米国で8日、少年用更生保護施設で入所者の黒人少年が職員に窒息させられて意識を失う場面を捉えた動画が、遺族の代理人弁護士によって公開された。動画は拡散され、怒りを呼んだ。

 事件が起きたのは、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)にある更生保護施設「レークサイド・アカデミー(Lakeside Academy)」。コーネリアス・フレデリクス(Cornelius Fredericks)さん(16)は4月29日、カフェテリアで別の少年にサンドイッチを投げ付けたことで職員らに組み伏せられ、体重をかけられ、押さえつけられた。

 監視カメラの映像によると、フレデリクスさんは10分後、意識を失ったようだった。職員らは心肺蘇生法を試みた後、医療の助けを求めた。フレデリクスさんは2日後の5月1日に死亡した。

 遺族の代理人弁護士ジェフリー・ファイガー(Geoffrey Fieger)氏は7日、動画を公開し、フレデリクスさんが窒息する場面を捉えた「恐ろしい映像」は、「懲罰という形で(入所者を)窒息させることが慣行となっていた」レークサイド・アカデミーの「恐怖と虐待の文化」を明らかにしたと述べた。

 ファイガー氏はフレデリクスさんについて、「サンドイッチを投げた罪で4月29日、処刑された」と述べ、職員7人に組み伏せられて「酸素を奪われ、脳が不可逆的損傷を受けた」と説明した。

 補導員2人と看護師1人が、非故意殺と児童虐待の罪で訴追された。

 遺族は6月、事件に関与した職員と、ミシガン州と契約してレークサイド・アカデミーを運営している企業、シーケル・ユース・アンド・ファミリー・サービス(Sequel Youth and Family Services)を相手取り、民事訴訟を起こした。

 ファイガー氏は裁判文書の中で、「コーネリアスが『息ができない』と叫んだにもかかわらず、職員らは過剰な拘束をやめようとしなかった」「拘束の過剰行使と、コーネリアスの命に対する配慮不足という点は、ジョージ・フロイド(George Floyd)さんの死と恐ろしいほど酷似している」と述べた。

 ファイガー氏は7日、運営会社が遺族に100万ドル(約1億円)未満の示談金を支払うことで裁判外和解を提案してきたと明らかにした。

 ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer)知事は6月、フレデリクスさんの死を「容認しがたい」と非難し、同州における運営会社との全契約を解除すると発表した。(c)AFP