■危険な旅

 南部の国境を越える旅には危険が伴う。

 レバノン兵は、レバノン側の国境付近で多数の銃弾が撃ち込まれたスーダン人男性の遺体を発見した。イスラエルに向かっていたと思われるが、正確な状況は分かっていない。レバノン軍によると、5月にはスーダン人5人がイスラエルに不法入国を試みたとして逮捕された。

 国境警備をくぐり抜けイスラエルまで到達したスーダン人が何人いるかを明らかにするのは不可能だが、今年イスラエル当局に逮捕され、今でもイスラエルにとどまっているスーダン人が1人いることは分かっている。

 イスラエルとレバノンは、厳密に言えばいまだ戦争状態にある。このため、経済移民に対する両国間の調整は行われていない。

 兵士らの情報をつなぎ合わせると、国境を越えようとしたのはウエーターや皿洗いなどの仕事をしていたが失職したスーダン人が多く、ソーシャルメディアを使って情報を集め、旅の計画を立てたとみられている。

 イスラエルの国境警備は非常に厳しいものの、レバノンでの状況があまりにも悲惨なため危険を承知で国境を越えようと試みるのだという。

 マレク氏は「生活状況と絶望感が、彼らを大きな危険に駆り立てた」と語った。(c)AFP/Bachir El Khoury with Rosie Scammell in Jerusalem