■モデルマイノリティー神話

 クァック氏はアジア系コミュニティーには、アジア人は最も優れた少数派であるとする「モデルマイノリティー神話」の内在化、肌の色で差別するカラーリズム、肌の色が濃いことに対する偏見などが存在すると指摘する。

「黄禍はブラックパワーを支持する」や「黒人の命は大切を支持するアジア系米国人」といったスローガンを使うことでさえ、故意ではなかったとしても「アジア・太平洋諸島系コミュニティーが、過去50年にわたり黒人コミュニティーに与えた損害を無視あるいは極小化」してしまうという。

 例えば「黄禍」という言葉は1969年、日系米国人の活動家リチャード・アオキ(Richard Aoki)が、黒人民族主義組織「ブラックパンサー党(Black Panther Party)」の共同創設者であるヒューイ・ニュートン(Huey Newton)を支持する運動で最初に使用したものだ。

 アオキは米連邦捜査局(FBI)にブラックパンサー党の情報提供をしていたことが、2012年に明らかになっている。

 以前から黒人やラテン系コミュニティーと協力していた、米ミネソタ州を拠点とするアジア系米国人リーダー連合(CAAL)やOCAナショナルといった団体は、今回の抗議活動への支援を後押ししている。

 CAALはデモに参加したミネソタ州のアジア系米国人を支援している他、OCAはモデルマイノリティー神話に関するワークショップやアフリカ・アジアの連携に関するバーチャル会合など、アジア系と黒人の関係強化に関する複数のプログラムを始動した。