【6月10日 AFP】世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)担当の専門家マリア・バンケルコフ(Maria Van Kerkhove)氏は9日、新型コロナウイルスの無症状感染者からの感染は「非常にまれ」だとした自身の発言について釈明し、「誤解」があったと述べた。

 バンケルコフ氏は8日、数か国で行われた研究に基づき無症状感染者によるウイルスの伝染が「非常にまれ」なようだと発言。発言はソーシャルメディアで拡散され、一部の科学者が反発していた。

 英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)のリアム・スミース(Liam Smeeth)教授(臨床疫学)はこの見解に「かなり驚いた」と述べた。スミース氏は「科学的な不確実性は残っているものの、無症状感染者による感染は症例の30%から50%程度である可能性がある。これまでで最も良い科学的研究では、症例の半分までが無症状の、あるいは発症前の人から感染したことを示唆している」と指摘した。

 WHOのツイッター(Twitter)アカウントで9日に発信された動画の中で、バンケルコフ氏は誤解を招いた点について説明したい意向を示した。

 バンケルコフ氏は、記者会見で受けた質問に「二つか三つの、非常に少ない数の研究に言及して」答えたもので「WHOの方針を述べたものではなかった」とし、「『非常にまれ』という言葉を使ったが、無症状感染者からの感染が世界で非常にまれだと述べるのは誤解だ。私は研究のサブセット(一部)について言及していた」と話した。(c)AFP