【5月28日 AFP】北極地方の各地に眠っていた「ゾンビ火災」──昨年の記録的な原野火災の残り火──が、この春の異例の暑さと乾燥で再燃する恐れがあると、科学者らが27日に警告した。

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 欧州連合(EU)のコペルニクス大気モニタリングサービス(CAMS)の上席研究員で原野火災が専門のマーク・パリントン(Mark Parrington)氏は、「衛星による原野火災の観測で、『ゾンビ火災』が再燃した兆候を捉えた」と述べた。

 原野火災は、詳しくは地上からの調査で確認する必要があるものの、昨年火災があった地域に集中しているという。

 2019年はシベリア(Siberia)とアラスカ(Alaska)の広い範囲で、前例のない規模と継続期間の原野火災が発生した。

 高い気温と低い湿度で原野火災のリスクは高まっている。欧州は、今年の3月と4月に特に気温が高かった。

 カナダのマクマスター大学(McMaster University)で分水界(隣接する河川の流域間の境界線)の生態系を研究しているマイク・ワディントン(Mike Waddington)氏は、「北極地方では気温が非常に高くなっているため乾燥し、泥炭が燃えやすくなっている」と指摘し、「ゾンビ火災とは、地下で燃え続け、しばらくたった後に地表で再び燃える火災のことだ」と説明した。(c)AFP/Marlowe HOOD