【12月17日 AFP】数多くの性犯罪の訴えにさらされた米ハリウッドの元大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)被告(67)は大衆紙の取材に対し、自身がいかに女性主導の映画を「切り開いた」かを世界は忘れてしまったと嘆いた。これを受けて被害者らが16日、非難の声を上げた。

 セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」のきっかけをつくり、終身刑を受ける可能性のある刑事訴訟を3週間後に控えたワインスタイン被告は、ニューヨーク・ポスト(New York Post)紙による異例のインタビューに応じた。

 背中の手術後に病院で取材を受けたワインスタイン被告は、自らを「忘れられた人間」のように感じると語った。

  映画『恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love)』や『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』をプロデュースした同被告は、「私はどの映画製作者よりも多くの女性監督作品や女性に関する作品を作った、しかも30年前にだ」と話した。

「それがはやりになっている今の話をしているのではない。私が最初にやったんだ! 私が切り開いたんだ! それがこれまで起こったことのせいで、何もかも骨抜きになってしまった」と続けた。

 女優のアシュレイ・ジャッド(Ashley Judd)さんやローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)さんら、ワインスタイン被告から性的被害を受けたと告発した女性23人は、被告のこの発言は「社会にまた虚像を見せようとする」試みだと非難している。

 女性らはジェンダー格差の解消などを訴える運動「タイムズ・アップ(Time's Up、もうおしまいの意)」のツイッター(Twitter)アカウントに投稿。

 同被告について「新たなインタビューで忘れられたくないと言っている。まあ忘れられはしないだろう」「被告は性犯罪者として、またすべてを奪い、いかなる称賛にも値しない、悔悟の念を持たない虐待者として記憶されるだろう」と書いた。

 ワインスタイン被告は先週、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)やレイプ被害を訴えていた女優や元従業員30人以上と、和解金2500万ドル(約27億円)の支払いで合意している。和解金は原告全員で分配するという。(c)AFP