【11月11日 AFP】(更新)仏パリ北部で10日、イスラム嫌悪に抗議するデモ行進が行われ、1万人以上が参加した。デモ行進には、仏政府と極右勢力からの批判も集まった。

 このデモは、同国南部バイヨンヌ(Bayonne)で先月、84歳の元極右活動家の男がモスクを襲撃、発砲し、男性2人が負傷した事件に抗議して行われた。

 デモの参加者らの多くは、イスラム教に対する攻撃を非難するプラカードを掲げた。伝統的なイスラム教のスカーフをかぶった女性も多かった。またフランス国旗の色である青、白、赤の3色のスカーフを着用した女性らもいた。

 この抗議デモは、イスラム教徒によるベールやスカーフの着用をめぐる議論がフランスで再燃する中で起きた。また近年、同国でもイスラム過激派などによる襲撃事件が発生しているという背景がある。

 デモに参加していた実業家のラルビさん(35)はAFPの取材に対し「われわれは警鐘を鳴らすために、超えてはならない憎悪のレベルがあるということを言うために来た」と話した。

 一方で一部の政府関係者は、このデモ行進に共感しない姿勢を明確に示した。

 エリザベット・ボルヌ(Elisabeth Borne)環境連帯移行相は、デモ行進は人々を互いに敵対させるだけだと指摘。

 極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首も10日にツイッター(Twitter)で、イスラム嫌悪よりもイスラム過激派が同国ではるかに多くのイスラム教徒を殺しているとして、デモ行進を非難した。

 最新の統計によると、フランス国内には500万~600万人のイスラム教徒が暮らしている。これはフランスで2番目に多く信仰されている宗教がイスラム教であり、また同国が欧州最大のイスラム教徒コミュニティーを抱えていることを意味する。(c)AFP/Shahzad ABDUL