【11月8日 AFP】香港の裁判所は7日、民主派デモで逮捕・起訴された中国本土出身の学生に対し、危険な武器を所持していた罪で禁錮6週間の有罪判決を言い渡した。「逃亡犯条例」改正案への抗議に端を発する一連のデモに関連し、中国本土出身者が実刑判決を受けたのは初めて。

 香港では6月の大規模デモ以降、これまでに3300人以上が逮捕され、その約3分の1は学生だ。

 中国・重慶(Chongqing)市出身の陳子謀(Chen Zimou)被告(24)は音楽と英語を専攻する学生で、伸縮する特殊警棒を所持していたとして7月に逮捕された。当時、現場付近では民主派のデモが行われていたが、被告は参加していなかったと主張。検察側も、被告がデモ参加者だとは証明できていない。

 弁護側は、陳被告が警棒を持ち歩いていたのは自衛目的だったと主張。被告は香港大学(University of Hong Kong)で学ぶ傍ら、週末には隣接する中国・深セン(Shenzhen)市にピアノのレッスンに通っているが、その際、犯罪組織「三合会(Triad)」とみられる集団が7月21日にデモ隊や通りすがりの人々を襲って50人近くが重軽傷を負った元朗(Yuen Long)駅を通らなければならなかったことを警棒所持の理由に挙げていた。

 陳被告はデモの暴徒化と警察の暴力の両方に批判的で、逮捕後にはフェイスブック(Facebook)に、香港政府は警察の行動について独立調査を行うべきであり、行政長官らは「デモ隊の5大要求を満たす妥協案を提示するべきだ」と主張する投稿を行っている。

 中国本土ではソーシャルサイトの微博(ウェイボー、Weibo)などで、陳被告が「暴徒」に味方していると非難する声が上がり、被告の家族や親族に嫌がらせを行うユーザーも出ていた。

 また、裁判所は同日、デモ開始以来初となる未成年者(16)にも危険な武器所持の罪2件で初の有罪判決を下した。16歳の少年は今年9月、つえを使って改造した傘とレーザー・ポインターを所持していたとして逮捕された。逮捕時はまだ15歳だった。(c)AFP