【10月30日 AFP】トカゲの食習慣は気温がわずか2度上昇しただけで変化し、結果として生存率が低くなるとする研究論文が30日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された。

 トカゲは通常、昆虫を餌としており、クモやハチといった捕食昆虫だけでなく、コオロギなどの草食性昆虫も食べる。

 しかし、通常よりも気温が2度高い環境をつくりトカゲを観察したところ、トカゲが捕食昆虫をより多く食べるようになることが分かった。

 論文の主執筆者、エルビール・ベスティオン(Elvire Bestion)氏はAFPに対し、この結果に驚いたと語った。

 研究チームは、通常より気温が高いと、トカゲの周囲をうろつく捕食昆虫の数は減ったにもかかわらず、トカゲが捕食昆虫を好む食習慣に移行したことを発見した。
 
 ベスティオン氏はこれについて「一つの仮定として、温度が上昇するとトカゲはより栄養価の高い餌を必要とするようになり、それを満たすために捕食昆虫をより多く食べる習慣に移行するのではないかと考えられる」と述べた。

 もう一つの注目すべき発見は、食習慣が変わることで、トカゲの消化器官内の微生物相の多様性が減少し、恐らくその結果として生存率が低下することだ。さらに重要なことに、トカゲの食習慣が変化すれば、食物連鎖における上層の生物の食習慣にも混乱が生じる可能性を同論文は指摘している。

 2015年に採択された地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、気温上昇を2度未満に抑えることが目標として掲げられている。(c)AFP