【10月23日 AFP】欧州連合(EU)で新たに施行される厳格な著作権指令に対し、米グーグル(Google)が従わない意向を示していることについて、報道関係者約800人が23日、EU当局に対抗措置を求める公開書簡を発表した。

 フランスを皮切りに24日から施行されるEUの新著作権指令は、グーグルやフェイスブック(Facebook)といったインターネット企業がサイトに表示した記事や画像に対し、著作権使用料の支払いを義務付けるもの。

 しかしグーグルは、インターネットの検索結果に表示されるニュース記事やサムネイル画像について、報道機関に著作権使用料を支払うことを拒否している。

 グーグルは先月、メディア側が無料使用を認めなければ、検索結果に記事の見出しとリンク以外を表示しない方針を明らかにした。記事の内容や映像は検索結果に表示されないことになり、メディア側にとっては記事が読者の目に留まる機会や広告収入の減少がほぼ確実となる。

 これに対し、約800人の記者やフォトグラファー、映像制作者、メディア幹部らは欧州各紙に公開書簡を掲載。グーグルや他のIT企業にEUの新著作権指令を順守させるよう、EU各国の政府に要求した。

 書簡は、グーグルの対応は「国家および欧州の主権に対する新たな侵害」であり、指令が施行前からすでに全く効力を発揮できない危険性があると指摘。グーグルが著作権使用料を全く支払わずに、ニュースコンテンツが生み出す広告収入を荒稼ぎしている現状は全く受け入れられず、これによって報道機関が追い込まれている危機的状況は毎年深刻化していると訴えた。

 これに対しグーグルは、欧州だけで毎月80億回以上のアクセスをニュースサイトに送り込んでおり、報道機関には利益が生じていると反論している。

 仏パリでも先月、グーグルでニュース関連の責任者を務めるリチャード・ジングラス(Richard Gingras)副社長が「ユーザーの信頼が損なわれる」として「検索結果に表示されるリンクには使用料を支払わない」と述べた。

 しかしAFPを含む報道各社は、従来のメディア媒体からインターネットへと読者が移行する中、急激な減収への対策に、グーグルのような検索サイト上のリンクが役立っているとはいえないと主張している。(c)AFP