【10月13日 AFP】第49回世界体操競技選手権(49th FIG Artistic Gymnastics World Championships)は12日、ドイツ・シュツットガルト(Stuttgart)で男女の種目別決勝が行われ、米国のシモーネ・バイルス(Simone Biles)が史上最多タイとなる通算23個目の世界選手権のメダルを獲得した。

 バイルスはこの日行われた女子跳馬で優勝して、個人総合と団体に続く今大会3個目の金メダルを獲得し、ベラルーシのビタリー・シェルボ(Vitaly Scherbo)氏が1990年代につくった通算23個の記録に並んだ。13日の平均台かゆかでメダルを獲得すれば、新たな記録が誕生する。

 しかし驚異的な偉業を達成したバイルス本人は、記録を振り返っている時間はないと強調し、AFPに対して「そういうことを考えている暇はない。考えるのは演技の出来栄えと、それからディナーのことだけ」とコメントした。

 2本目の演技を終え、優勝を確定させたバイルスは「着地がとてもうまくいったのがとにかくうれしい」「練習ではいつも乱れていたから、うまく静かに着地できて良かった」と話している。

 五輪でも四つの金メダルを獲得しているバイルスは、これで世界選手権の金メダル数を17個に増やし、今大会は5個を持ち帰れる可能性がある。

 段違い平行棒では5位に終わり、この日二つ目のメダル獲得はならなかったが、本人は「きょうの自分の演技には満足している。もちろん段違い平行棒でメダルは取れなかったけど、取れるチャンスはもともとあまりなかった」と認めた。

 今大会が「99.9パーセント」最後の世界体操になると話す女王だが、歴史をつくることにはあまり関心がなく、「とにかく頭をクリアに保って全ての決勝に臨みたい」「一つ一つ瞬間を味わいながら、プライドを持って戦いつつも楽しみたい」とコメントしている。

 跳馬では、米国のジェイド・キャリー(Jade Carey)が銀メダル、英国のエリッサ・ダウニー(Elissa Downie)が銅メダルを獲得した。段違い平行棒では、前回チャンピオンのニナ・デルバール(Nina Derwael、ベルギー)が連覇を達成した。

 男子あん馬では、リオデジャネイロ五輪金メダリストのマックス・ウィットロック(Max Whitlock、英国)が2015年大会、2017年大会に続く世界体操3個目の金メダルを獲得した。台湾の李智凱(Lee Chih-Kai)が0.067点差で銀メダル、アイルランドのリース・マクレナガン(Rhys McClenaghan)が0.1点差で銅メダルを獲得した。

 男子つり輪では、トルコのイブラヒム・コラック(Ibrahim Colak)が自身初となる主要大会の金メダルを獲得。マルコ・ロダディオ(Marco Lodadio、イタリア)が0.033点差の2位、サミル・アイ・サイド(Samir Ait Said、フランス)が0.133点差の3位に入り、五輪王者で世界体操3連覇中だったエレフテリオス・ペトロニアス(Eleftherios Petrounias、ギリシャ)は、0.2点差の4位で表彰台を逃した。

 男子ゆかはフィリピンの19歳、カルロス・ユーロ(Carlos Edriel Yulo)が優勝し、前回の銅を上回った。アルテム・ドルゴピャト(Artem Dolgopyat、イスラエル)が銀、肖若騰(Xiao Ruoteng、中国)が銅メダルを獲得した一方、個人総合王者のニキータ・ナゴルニ(Nikita Nagornyy、ロシア)は0.3点のペナルティーを科されて6位に終わり、今大会3個目の金はならなかった。(c)AFP/Ryland JAMES