【9月4日 AFP】ボリビア東部の森林と草地で数週間燃え続けている火災で、希少な岩絵遺跡群が破壊された。考古学チームが3日、明らかにした。

 東部サンタクルス(Santa Cruz)県の考古学チームを率いるダニーロ・ドラキック(Danilo Drakic)氏は、「岩絵遺跡の被害は広範かつ甚大だと考えている」と述べた。

 専門家らによると、サンタクルスには数千年にわたって描かれたり彫られたりしてきた岩絵の遺跡が多数存在する。

 ドラキック氏によると、5月から続く火災により、サンタクルス県ロボレ(Robore)近くの岩絵遺跡群に重大な被害が出ている。遺跡群には、紀元前1500年に彫られた岩絵も複数含まれている。

 ドラキック氏はこれまでに分かった被害状況として、「すべての岩絵がすすの黒い層に覆われた」「(火災の熱で)岩が割れ、崩壊したものさえある」と述べた。鎮火後でなければ被害の完全な評価はできないという。当局は2017年5月、ボリビアの政府所在地ラパス(La Paz)の東約1300キロに位置するロボレを「岩絵の県都」と宣言していた。

 ボリビア文化・観光省によると、この火災で、イエズス会が17~18世紀に建築し、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているチキトスのイエズス会伝道所群(Jesuit Missions of the Chiquitos)も危険にさらされているという。

 ビルマ・アラノカ(Wilma Alanoca)文化・観光相は、火災に最も近い伝道所について、「まだ影響は受けていないが、危険が迫っている」と述べた。

 ボリビア政府は先週、同国では今年これまでに、森林と草地120万ヘクタールが焼失したと発表した。しかし環境保護活動家らは、実際の数字はそれよりもはるかに大きいと主張している。(c)AFP