【8月29日 AFP】第76回ベネチア国際映画祭(Venice Film Festival)が28日、イタリア・ベネチアで始まり、是枝裕和(Hirokazu Kore-eda)監督の『真実(The Truth)』がオープニング作品として上映された。出演したフランスの女優ジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)は、通訳を介して指示を出されるのは大変だったが、高名な日本人監督の映画に出演するのは「夢」だったと語った。

 カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やイーサン・ホーク(Ethan Hawke)も出演する『真実』は、同映画祭のコンペティション部門に出品されている。

 同作は是枝監督にとって初の国際共同製作作品で、フランス語と英語で撮影された。全編を通してフランス・パリの豪邸が舞台になっていて、全盛期を過ぎたフランスの国民的大女優が自伝本を出版したことをきっかけに母と娘の隠された過去があらわになっていく。

 オスカー女優のビノシュは、家族にまとわりつく秘密と対立に葛藤する米ニューヨーク在住の娘を演じている。上映に先立ち行われた記者会見でビノシュは、是枝監督の映画に出ることは「私にとって夢だった」と述べた。

 監督とは通訳を介してコミュニケーションを取らなければならず撮影は複雑だったが、監督はジェスチャーでも伝えようとしていたと話す。ビノシュは当初「なぜ、監督はあんなに動いているのだろう」と思ったと言う。

 だが、ある重要なシーンを撮影した時に監督がどのように演じてほしいと思っているのかを理解した。「私が監督の意図を理解すると、(是枝監督は)動きを止めた。激しく動いていたのを止めたのです」と話した。