【6月30日 AFP】女子テニスで世界ランク1位の重圧から解放された大坂なおみ(Naomi Osaka)は、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)のエールに勇気づけられながら、今年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)を見据えている。

 日本を代表するスター選手である大坂は、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)で無念の3回戦敗退に終わり、四大大会(グランドスラム)で3大会連続のタイトル獲得を果たす目標がついえてしまった。

 全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)と全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2019)を制してスポットライトを浴びるようになり、そのことに違和感を覚えていた21歳は、当時世界42位だったカテリーナ・シニアコバ(Katerina Siniakova、チェコ)に敗れたのは、「何よりのこと」だったと認めた。

 世界トップの選手になったことによって、グランドスラム3連勝を期待される状況に直面した大坂は、そのことに関して質問されると、「クレーシーズンはずっとそのことに悩まされていた。ずっとストレスを抱えていて、そのことが露呈してしまった」と答えた。

 その後、アシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)に世界トップの座を明け渡した大坂は、第2シードとして臨むことになったウィンブルドンをこれ以上ないほど楽しみにしているといい、「今は単純に楽しめている。とてもわくわくしている」と話した。

 全仏オープンテニス(French Open 2019)では、重圧に直面して慢性の頭痛やストレスに加えて疲労を抱えていたという大坂は、オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)では、昨年までの2大会でいずれもグラス(芝)コートの女王に3回戦敗退を喫している。

 2017年には通算5度のウィンブルドン制覇を誇るヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)に敗れ、昨年大会では優勝したアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)から6ゲームしか取れずに屈した。

 昨年ノッティンガム(Nottingham)で行われたウィンブルドンの前哨戦では4強入りを果たしたものの、今年のグラスコートではわずか1勝にとどまっている大坂は、「グラスコートは、あまり得意ではない」と認めている。

 マリア・サッカリ(Maria Sakkari、ギリシャ)に勝利した前週のネーチャーバレー・クラシック(Nature Valley Classic 2019)の1回戦では、ピンチの連続に「心の中で絶叫していた」といい、「あらゆることが、これまでプレーしてきたことと全く違っていた。小さい頃はグラスコートでプレーしたことはなかった」と明かした。

 大坂にとって2019年シーズン前半は浮き沈みの激しいものになっており、全豪オープンで優勝した直後にサーシャ・バイン(Sascha Bajin)コーチと決別して以降、決勝進出を果たした大会は一つもない。

 しかしながら、グランドスラム通算20勝の王者フェデラーも、2003年のウィンブルドンでグランドスラム初優勝を飾った後、調子の波が激しく自信喪失に陥るという同じような状況に直面したと明かしており、これは大坂にとって心強いエールとなっている。

 ウィンブルドンで通算8度の優勝を誇るフェデラーは、「あのあと自分もことごとく勝てなくなった。何も失うものがない状況から一変する。今は相手が自分を倒して勝つことに誰もが驚くという状況だ」

「彼女はグランドスラム2連勝という幸先の良いスタートを切った。それをやり遂げたのだから、もう一度できると分かっているはず。彼女は本当によくやっている。毎週のように勝てるわけがない。それは誰にも不可能だ」

 大坂はウィンブルドンの初戦で、ユリア・プチンツェワ(Yulia Putintseva、カザフスタン)と対戦する。(c)AFP/Dave JAMES