■最大の脅威

 だが、法の執行だけでこの問題を解決することは不可能だと、研究チームは強調する。

「アジアにおける象牙需要を減らすとともに、アフリカでゾウと共存する人々の暮らしを向上させることが不可欠だ」と、ビール氏は語った。

 今回の研究では、アフリカの53の自然保護区域で自然保護官が目撃したゾウの死骸の記録を詳しく調べた。この結果、違法な殺害件数とアジアの象牙価格が緊密に連動していることが分かった。さらに、地域によって大きく異なる汚職と貧困の主要指標も密猟発生率と合致していた。

 だが、結局のところ、アフリカゾウにとって最大の脅威は人間の貪欲さではなく、人間の活動区域が膨張し続けていることかもしれない。

「人間による生息地の破壊と分断は、長期的に見るとゾウの生存にとってより深刻な脅威となる可能性がある」と、ビール氏は述べた。

 西アフリカは現在ゾウの生息数が他の地域に比べ圧倒的に少ないが、農業や都市化により生息地が最も失われた地域でもあるという。(c)AFP/Marlowe HOOD