【5月28日 AFP】中国は、米国との関係が悪化するという難局に立ち向かおうと国民の愛国心をあおっている。国営テレビは朝鮮戦争(Korean War)時代の映画を連日放映。米中貿易戦争の歌がネット上で拡散したかと思えば、国営メディアは米政府をこき下ろす論説を掲載している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は先週、中国政府が通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)を利用して諜報(ちょうほう)活動を行っているとし、同社をブラックリストに載せるよう呼び掛けた他、米企業による同社への技術提供を禁止。貿易をめぐる対立は、激しい言葉の応酬へと発展した。

 米中両国はそれぞれ関税を大幅に引き上げ、貿易交渉の再開には至っていない。

 中国の国営新華社(Xinhua)通信は24日、中国は今や米国の「気まぐれ」への「理解を深め」、「長征」精神をもって米国と争う準備ができたと伝えた。

 この論調は、習近平(Xi Jinping)国家主席の強硬姿勢に倣ったものだ。習氏は先週、共産党幹部らに対し「新たな長征」に備えるよう呼び掛けた。長征とは、1930年代に共産党が行って語り草となった戦略的撤退のことで、これにより共産党は再編成され、1949年の勝利につながった。

 習氏はまた、地方官僚に対し、外部の影響は「複雑な長期作用」を及ぼすと警告した。

 中国国際経済交流センター(China Center for International Economic Exchanges)の主席研究員、張燕生(Zhang Yansheng)氏は22日、政府主催の報告会で、世界の二大経済大国は「長期にわたる不合理な対立を経験する」と話し、こう述べた。

「この過程において、徐々に…お互いを理解したり、反発したりすることで、(最終的に)協力するようになるだろう」

 トランプ氏は、来月大阪で開かれる20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて習氏と会談する予定で、米国側は和解の余地を示している。