【2月1日 AFP】2015年に仏パリ(Paris)行きの国際高速列車を狙ったイスラム過激派の攻撃を阻止し、「英雄」と称賛された米国人3人が、このほどフランスの市民権を取得した。

「共和国の価値観のために命の危険を冒した」──エマニュエル・ルブランダミアン(Emmanuel Lebrun-Damiens)仏総領事は1月31日、米カリフォルニア州サクラメント(Sacramento)で行われた授与式で、アンソニー・サドラー(Anthony Sadler)さん(26)、アレク・スカラトス(Alek Skarlatos)さん(26)、スペンサー・ストーン(Spencer Stone)さん(26)の3人をたたえた。

 3人は欧州旅行中だった2015年8月21日、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)発パリ行きの国際高速列車「タリス(Thalys)」の車内で、AK47(カラシニコフ自動小銃)や拳銃、カッターナイフなどで武装した男に飛び掛かって取り押さえ、攻撃の阻止に貢献した。

 逮捕された国籍のアイユーブ・ハッザーニ(Ayoub El Khazzani)容疑者はイスラム過激思想に傾倒しており、3人が行動を起こす前に1人を撃って重傷を負わせていた。

 3人は事件後、当時のフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領から仏最高勲章レジオン・ドヌール(Legion d'Honneur)を授与された。また、3人の活躍はクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督の手で映画化され、3人が「本人役」で出演したことで話題を呼んだ。

 フランス市民権の取得は、3人が申請したものだという。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、市民権授与の通知書の中で「今日、フランスはあなたがたを迎えることを誇らしく、嬉しく思う」と述べ、こう続けている。「あなたがたはフランスと欧州の市民権に付随する完全な権利を手にした。同時に、あらゆる義務も完全に負わなければならない。わが共和国と欧州連合(EU)は、民主主義を支えるあなたがたの積極的な参画を必要としている」

 スカラトスさんは「フランスとの縁ができた今、市民権を取得するのが私たちにとって重要だった。あのテロ攻撃の後、4~5回は(フランスに)戻っている」と話した。

 一方のサドラーさんは、「私たちは誰もフランス語は話せないが、これから教室に通おうとしているところだ」とコメント。人生の選択肢が大きく広がることになるとして、「フランス人を妻に迎えるかもね!」と語った。(c)AFP