【12月22日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は21日、米国が支援するクルド人部隊とイスラム過激派をシリアから掃討する作戦を「数か月以内」に実施すると明言した。これに対しクルド人勢力は、トルコ政府のいかなる攻撃も、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いを著しく妨げる恐れがあると警告している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は19日、シリアのISを「打倒した」として、同国に展開している米兵2000人を撤退させる意向を発表した。米政府の決断は、米軍から訓練を受けているクルド人勢力だけではなく、シリアにおけるトルコの軍事作戦にも影響を与えている。

 エルドアン氏は、トルコ国内で1984年から反政府活動を行っている非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の「分派であるテロ組織」と政府が位置付けているクルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」を掃討する作戦を実行する考えを示した。

「数か月以内には、YPGとダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)の戦闘員をシリアから掃討させる作戦を実行する」と、エルドアン氏はイスタンブールで発表。トランプ氏がシリアからの米軍撤退を決断したことについては、歓迎する意向を示す一方で、米政権がYPGへの軍事支援を停止しないことを引き合いに出し、「過去の苦い経験」から「慎重」に受け止めていると述べた。

 エルドアン氏は12日、ユーフラテス川東側で「数日以内」に軍事作戦を開始すると発表していた。当初の予定を延期した理由について、トルコのメブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相は21日、国営テレビのインタビューで、「友軍の誤爆」を避けるためと説明しながらも、「今後の作戦の後退を意味するものではない」とけん制した。

 しかし、米国が支援するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)の政治部門「シリア民主評議会」(SDC)の指導者らは、トルコが攻撃すればISとの戦いは中断される恐れがあると警告している。(c)AFP/Ezzedine Said with Raziye Akkoc in Ankara