【12月15日 AFP】仏文豪マルセル・プルースト(Marcel Proust)の長編小説「失われた時を求めて(Remembrance of Things Past)」の第1編「スワン家のほうへ(Swann's Way)」の希少な初版本で、プルーストが恋人に贈った1冊が14日、パリで競売に掛けられ、フランス人作家の作品としては世界最高額の151万ユーロ(約1億9300万円)で落札された。競売大手サザビーズ(Sotheby's)が明らかにした。

 予想落札価格は60万~80万ユーロ(約7700万~1億円)だった。仏文学作品のこれまでの最高落札額は9年前に売却された詩人シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire)の詩集「悪の華(The Flowers of Evil)」の77万5000ユーロ(約9920万円)。

 今回落札された書籍は番号の付けられた豪華装丁版の第1号で、プルーストが自ら購入し、作家で画家のリュシアン・ドーデ(Lucien Daudet)に贈ったもの。本にはドーデへの愛情を込めた献辞が添えられた。プルーストは自身の同性愛を認めたことはなかったが、ドーデとは明らかな恋人関係にあった。(c)AFP/Alain JEAN-ROBERT, Fiachra GIBBONS