■ウォーレン・ガトランド(Warren Gatland)氏

 ウェールズ代表の現指揮官を務めているガトランド氏は、その経歴からすればハンセンHCの後任候補として最有力に挙げられるのは必然と見られる。しかし、現実問題としてNZRとの関係が、母国の代表指揮官就任を阻む可能性がある。

 ガトランド氏は、ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(British and Irish Lions、英国とアイルランドの選抜チーム)を率いて2013年にオーストラリアとのシリーズを勝ち越し、2017年にもオールブラックスとのシリーズを引き分けに持ち込む手腕を発揮した。ウェールズ代表の指揮官としても3度のシックスネーションズ制覇を成し遂げたほか、2011年のW杯でもチームをベスト4に導いた。

 来年のW杯後にはウェールズ代表指揮官を退き、ニュージーランドに帰国する意向を示しているガトランド氏だが、NZR上層部との関係は冷え切っているとの見方が強く、オールブラックスの次期ヘッドコーチとしてオファーがあれば驚きの声が上がると思われる。それでも、これまでの実績は申し分ない。

■スコット・ロバートソン(Scott Robertson)氏

 ブレークダンスとサーフィンがトレードマークの指揮官が、オールブラックスを率いる時代が来るのか? 実現する可能性はあるが、それは来年のことではないと思われる。ロバートソン氏は、クルセイダーズ(Crusaders、ニュージーランド)のHCに就任した直後にチームを立て直して、スーパーラグビーで2連覇を達成したほか、それ以前にも国内リーグにおいて4年間で三つのタイトルを手にしている。

 ぼさぼさの髪形で楽天的な性格のロバートソン氏は、ブレークダンスで勝利を喜ぶことで知られており、型にはまった指揮官としてはそぐわないかもしれない。しかし、「かみそり」のニックネームを誇る優秀な人材であることは否定できず、その型破りな戦略で結果を出していることはハンセンHCも認めており、「彼はユニークな存在だ。自分らしく振る舞い、彼といると周囲も一緒に盛り上がる」と評価した。

 ロバートソン氏が将来オールブラックの指揮を執ることは間違いないと見られているものの、まだ44歳という年齢から急いでその仕事を追求する必要には迫られておらず、まだ学ぶべきことは多いとして、ハンセン氏は「忍耐強くいることだ。時がコーチになることを手助けしてくれる」と話した。

 この4人以外で、ニュージーランド出身の指導者としてハンセンHCの後任候補に挙げられるのは、現在日本代表を率いているジェイミー・ジョセフ(Jamie Joseph)HCをはじめ、欧州プロリーグのプロ14に参戦するグラスゴー・ウォリアーズ(Glasgow Warriors)のデイブ・レニー(Dave Rennie)HC、そしてフランスリーグ・トップ14のモンペリエ(Montpellier Herault Rugby)で指揮を執るバーン・コッター(Vern Cotter)氏らとなっている。(c)AFP