【12月13日 AFP】フランスの最高裁に当たる破棄院は12日、不法入国した移民に支援を提供した罪に問われた活動家2人の上告審で、執行猶予付きの有罪判決を破棄し、南部リヨン(Lyon)の控訴院に差し戻した。移民に手を差し伸べる「連帯の罪」での訴追については仏憲法会議が7月に違憲と判断しているが、有罪判決が破棄されたのは初めて。

 南仏でオリーブ農園を営むセドリック・エルー(Cedric Herrou)被告は、約150人の移民をイタリアからフランスに不法入国させる手助けをし、エリトリア人約50人を廃駅にかくまった罪で、2017年8月、禁錮4月の執行猶予判決を受けた。

 ピエールアラン・マノーニ(Pierre-Alain Mannoni)被告も同年、移民の不法入国を支援したとして禁錮2月の執行猶予判決を言い渡された。

 フランスでは、不法移民に食事や宿泊場所などの人道支援を提供した人々が、最高5年の禁錮刑と罰金3万ユーロ(約390万円)を科される罪に問われ、求刑よりは軽いものの有罪判決を受けるケースが相次いでいた。

 しかし、法律や条約の違憲審査を行う憲法会議は7月、こうした「連帯の罪」を処罰の対象とするのはフランスが掲げる「自由、平等、友愛」の精神のうち「友愛の原則」に反しており、違憲だと判断した。

 破棄院の破棄差し戻し判決を受け、リヨンの控訴院は公訴を棄却する見通し。エルー被告の弁護士は、見返りを求めることなく移民に合理的な支援を提供する行為が「人道的な例外」と判断されたことに言及し、「大勝利だ」と述べた。(c)AFP