【11月18日 AFP】フランス各地で17日、燃料価格の上昇に対する抗議デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動があり、デモ参加者1人が車にひかれ死亡した。デモは国内で停滞する購買力をめぐり、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に対する不満が国民の間で広がっている様子を浮き彫りにした。

 内務省によると、この日各地の主要高速道路や幹線道路、環状交差点など2000か所以上で行われたデモにおよそ28万3000人が参加。227人が負傷、うち7人が重傷で、52人が拘束された。南部の地中海沿岸都市グラース(Grasse)では警官1人が負傷した。

 一部の地域で運転手らがデモ参加者に立ち向かったり、封鎖された道路を無理やり進もうとしたりして負傷者が出たが、通行の妨害は大半が何事もなく行われた。しかし同国東部サボア(Savoie)地域圏では、娘を医者に連れて行く途中だった母親が、車をデモ抗議参加者に取り囲まれパニックを起こし車を急発進させたため、63歳の女性1人が死亡した。運転手は取り調べを受けており、警察によると、ショック状態にある。

 クリストフ・カスタネール(Christophe Castaner)内相は「われわれが懸念していたのは、主催者のいない抗議デモが必ずしも(デモの参加に)慣れていない人により行われることだった」と述べた。

 同国首都パリでは、マクロン大統領が居住するエリゼ宮(Elysee Palace、仏大統領府)に向け歩こうと試みた数百人のデモ参加者が、シャンゼリゼ(Champs Elysees)通りやコンコルド広場(Place de la Concorde)に集結し、「マクロンは辞任しろ!」と叫んだり、同国国歌「ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」を歌ったりした。(c)AFP/Manon JACOB, Joseph Schmid